雨実 和兎の小説創作奮闘ブログ

エッセイ・小説・詩・ポエム

2020-11-06から1日間の記事一覧

29<春と修羅>

<春と修羅> 時は少し戻り。 魔王曰く空いている部屋を使って良いと言っていたので、トウとエミリの二人は魔王城内を歩き寝室を探す。 ついでに消えた少年を探してみたが、当然見付ける事は出来なかった。 まさか其の少年が、さっき迄会っていた魔王だとは…

28<甲斐性無し>

<甲斐性無し> 「其れでは各自早速取り掛かってくれ。我は出掛けてくる」 「お供致しますわ、私はグレン樣の秘書ですので」 まるで散歩に行きたがる犬のように、ネズは尻尾を振っている。 「構わん、我は一人で行く」 此処は強く云っておかないと、付いて来…

27<メインクエスト>

<メインクエスト> 配下が邪魔者ばかりだという事は解った。 だがコイツらに此れ以上、自由に動き回られると俺の自由が奪われてしまう。 俺のメインクエストを叶える為にも、どうにかしなければ。 少し考え、俺はゴブリンに指示を出す。 「配下を全員集めて…

26<魔王の一歩>

<魔王の一歩> 寝室に移動した俺は、一息ついて寝室内を眺める。 室内には天幕の付いた豪勢なベッドと、机と椅子が綺麗に並んでいた。 異世界に来てからのゴタゴタ続きで疲れていたから、ベッドで寝れるのは素直に嬉しい。 だが、寝る前に確認しておかなけ…

25<なんちゃって魔王>

<なんちゃって魔王> ものすごい勢いの足音が近付いて来ている、もう逃げる事も出来なくなってしまった。 「まあ、お前は玉座にでも座っていろ。オロオロしていると疑われるぞ」 落ち込む俺を意識内の元魔王がたしなめる。 どんな状態なんだコレは、授業参…

24<運命の別れ道>

<運命の別れ道> この距離で今更逃げる事が出来る訳なんてなく、三人は覚悟を決めるしかなかった。 残り魔力の少ないリジョンは、支援魔法でルミニーとルドエルを強化。 再び身構え魔王グレンと向き合うが、魔力を開放していない状態でも魔王の威圧感は凄ま…

23<期待値>

<期待値> 門番の骸骨兵四体に気付かれないように、城近くの死角に移動したガルのメンバー三人。 ルミニーの合図でリジョンは岩石魔法を上空から城に複数投下、其れに拠り空いた壁の穴から三人は侵入。 リジョンの岩石魔法に依り城は何処崩壊していて、骸骨…

22<オールイン>

<オールイン> ガルのメンバー三人に気付く事なく、骸骨兵達は魔王城に入って行った。 門番には骸骨兵四体だけだが、城内には何体居るか見当も付かない。 静かに圧倒的な存在感を放つ魔王城を眺め、ガルのメンバー三人は困惑していた。 骸骨兵を統率する存…

21<ハズレくじ>

<ハズレくじ> 時は戻り、ガルのメンバー三人は沼地で合流していた。 「まだまだだね六体取りこぼしちゃったよ」 24体も骸骨兵を倒したのにルミニーは不満そうに呟く。 「二人はどこに行ったんだい」 ルミニーは不思議そうに訊ね、辺りを見回す。 「六体…

20<悪巧みと契約成立>

<悪巧みと契約成立> あのククク野郎が付いて来た時に悪い予感はしたが、やはり悪巧みしていやがった。 モノマネした時の仕返しなのか、只の嫌がらせを楽しんでいるのか本当に信用ならない。 だが今は取り敢えず彼女を助けに行かないと、又ククク野郎が何す…

19<希望と予想>

<希望と予想> 人との戦争でも起きたのか、もう何が起きているのか解らない。 それぞれ暴れ始める魔物達は逃げる事を優先しているのか、俺達を狙わず分散している。 其れでもミノタウロスだけは変わらず彼女に殴り掛かるが、やはり薄い光りに阻まれミノタウ…

18<モンスターハウス>

<モンスターハウス> 引き摺っていた骸骨兵投げ飛ばしたミノタウロスは、ゆっくりと俺に近付いて来る。 どうやら人間が敵なのは、魔物の共通意識なようだ。 取り敢えず接近戦では勝ち目が無いので、さっき得た<粘糸>を足下に放ち足止めを試みる。 一時的…

17<オッズ>

<オッズ> 再び鳴り響くゴングと同時に、お祭り気分の魔物達が騒ぎだす。 「オデは人間ガ勝っ方飯1ダ」 「オイは蜘蛛に飯3ダ」 「飯5、ニンゲンダロ」 「飯5クモ勝ツ」 必死に闘う人の気も知らず、魔物達は各々好き勝手に賭けだし。 「ニンゲン死ネ」 …

16<デジャブ>

<デジャブ> 飛び掛かって来た兎をなんとか避け、反撃を試みるがとにかく角が邪魔だ。 兎は角を活かした絶妙な角度と位置取りで、俺をジリジリと人壁へ追い詰める。 現実世界では黒い悪魔Gにすら苦戦するのに、いきなり角付きの魔物とは。 せめて武器くら…

15<ゴング>

<ゴング> 寝心地は最悪だったが、気分は悪くない。 きっと目覚めても彼女の顔が頭から離れないからだ。 恋の力というのは恐ろしいものだ。 もしかしたら何かの能力かもしれないと、勘違いしたくなる位に。 彼女の為なら魔王とでも闘えるかも知れない。 彼…

14<精一杯の判断>

<精一杯の判断> 「やっぱり騙されたんじゃない、こんな所に人なんて来ないよ」そう言ってルミニーは辺りを見回すが、確かに人の気配は全く無い。 森を抜けた先が目的地の沼だったのだが、魔王城近くというだけあって今にも魔物が出そうな空気を醸し出して…

13<駄目な父親の覚悟>

<駄目な父親の覚悟> 道中魔物には殆んど会わなかったので、宿泊予定地に着いたのは予想よりも早く。 夜になる前に一行はキャンプの準備を済ませ、飯を食べ終えた所だった。 「トウちゃん食べ過ぎだよ、お腹が風船みたいになってる」 「食べないと大きくな…

12<B級上位>

<B級上位> 保存食や野営の準備を済ました翌日。 「ウチはリーダーのルミニーでコッチの魔法使いはリジョン、で剣士のコイツはルドエル。チーム名はガルって言うんだけど、これでもB級上位のパーティーだからね」 「宜しくお願いします」 恭しくエミリが…

11<好都合な相手>

<好都合な相手> 翌日の朝。 早めに済ませた朝食は、目玉焼きだった。 ギルドで仕事の依頼を探しに来たが、他の冒険者達は変わらず冷たい視線を送る。 「気にするな、人の噂もなんとやらだ」 困った様子のエミリを慰め、依頼が貼り出された掲示板を眺める。…

⑩<父の審査>

<父の審査> 「すみません、私のせいで騒ぎになってしまって」 そう言って申し訳なさそうに近寄って来た女性職員は、冒険者達を取り纏め場所を用意してくれた。 準備された別室は応接室のようで、十人位が入れそうな広さに机とソファーが向かい合って並んで…

⑨<嫁との約束>

<嫁との約束> ひとしきり泣くと何とか落ち着いた。 久しぶりに娘の笑顔を視ると、本気で思う。 ずっと時間が止まって、このまま此の世界に居たい。 だが先ずは娘に状況を説明しないと、このままでは混乱してしまうだろう。 「自分は召喚獣のトウだ、君を守…

⑧<最高の笑顔>

<最高の笑顔> 待ち望んでいたゲーム機が自宅に届くのは、嫁の墓参りから二週間後の予定だった。 いよいよ其の日が来たと、仕事が休日の日を選んだのに朝からソワソワして早起きしてしまった。 そうなってしまうのも無理はない。 何故なら前日の夜も中々寝…

⑦<天国と地獄の確率>

<天国と地獄の確率> 所変わり現代。 娘が何万人に一人という確率の難病だと解ったのは、妻に先立たれ一人娘との生活も落ち着いてきた頃の出来事だった。 眠りについたまま目覚めない娘を不安に思い、医師を呼んだ結果である。 現代の医療技術では出来る事…

⑥<絶望と下心>

<絶望と下心> お手上げだ。 両手上げて、参りましたって言いたい位の。 ゲームならコントローラー放り投げて終りだけど、自分の命を投げ出す事は出来ない。 もう周りの魔物すら気にならない位に、希望も何も無い。 牢屋内の景色と同化して、只天井を見上げ…

⑤<Lv2>

<Lv2> 魔物を食べると能力値が上がるという事なら、生き残ればチャンスは在るかもしれない。 其れにしても何でも煮込めば良いってもんじゃないだろ。 腹の底から沸き上がるオーク臭のせいで、込み上げる吐き気が止まらない。 其れを無理矢理押さえ込み、…

④<飯と供物>

<飯と供物> 気持ちが落ち着いたからか、何だか腹が減ってきた。 この牢屋で飯は支給されるのだろうか?。ふと、そんな事が気になった。 支給されたとしても魔物用の食事だろうから、勿論期待は出来ない。 其れを選べる状況でもないのだが、出来れば餓死だ…

③<一矢>

<一矢> ずっと落ち込んでいても殺されるのを待つだけだ。 取り敢えず生き延びる為には此処から脱出しなければいけない。 自分の能力に期待出来ないなら、方法は一つ仲間を募るしかない。 この把握出来た笑えない状況から脱出する為の仲間を。 最低でも二人…

②<ユニークスキル>

<ユニークスキル> 人を蔑む魔物達の暴言から察すれば人間は食べ物で、確認出来る範囲内に人間は自分だけ。 状況は最悪だった。 だが沢山読んだなろうの小説やアニメから考えれば大抵チートな能力を持っていて、こんな所からでも簡単に脱出出来るはずだ。 …

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