21<ハズレくじ>
<ハズレくじ>
時は戻り、ガルのメンバー三人は沼地で合流していた。
「まだまだだね六体取りこぼしちゃったよ」
24体も骸骨兵を倒したのにルミニーは不満そうに呟く。
「二人はどこに行ったんだい」
ルミニーは不思議そうに訊ね、辺りを見回す。
「六体の骸骨兵を迎え撃とうとしていたら、崖に落ちたんだよ。昨日の夜に回復魔法の使い方試してたから死んではいないと思うけど」
ルドエルは気まずそうに答え、下を向いている。
「仕方ないね、探しにいくよ」
そう言ってルミニーが歩きだそうとすると、ルドエルが静止する。
「ギルドに報告しに戻った方が良いんじゃないか?」
「そんな暇無いよ、あれだけ骸骨達が居るんだから捕まったら直ぐ殺されるか連れてかれちまうよ」
そう言って歩きだすルミニーを追いかけながら、ルドエルはぼやいていた。
「魔王城の近くで人探しか・・・・・・」
一行はエミリが落ちた崖沿いを歩き探索を進めていくが、時おり骸骨兵と遭遇する位で夜になっても二人を見付ける事は出来なかった。
「其れにしても見付からないし、骸骨ばかりで手応えが無いね」
ルミニーは再び遭遇した骸骨兵を切り捨て、つまらなさそうにアクビをしている。
「本当に魔王って居るのかな?町に攻めて来た事って無いだろ」
「城が在るっていうのも噂ですから解らないですけど、魔王なんて居ない方が良いですけどね
」
ルドエルの素朴な疑問にリジョンが答え。
「弱い骸骨しか出ないし、いないんじゃない」とルミニーは決めつけている。
「一旦今日は此処で野営して、明日はもう少し奥に行くよ」
そう言ってルミニーは先に眠りにつき、交代での見張りが始まる。
野営場所に骸骨は出なかったが、精神的にも肉体的にも削られてきているのは間違いなかった。
次の日の朝。
再び捜索を再開した一行は、口数少なく、歩みを進めて行く。
遠征用に準備した食料も減り、尽きる前に決断しなければいけなく。
どれだけ進んでも変わらない荒れ地の景色と骸骨との戦いに疲れ、いつ打ち切りを口にしてもおかしくはなかった。
「倒しても倒しても切りがないね」
もう数えきれない程の骸骨を切り倒したルミニーにも、弱音が零れる。
「いっそのこと、骸骨追跡した方が二人を見付けられるかもな・・・・・・」
冗談っぽくルドエルは呟いたのだが、まさか其れが賛同されるとは思っていなかったようだ。
数分後。
移動する骸骨兵を見付け、一行は静かに身を潜め後を追う。
魔物が集結すると解っている場所に追って行くなんて、通常なら絶対にしない選択である。
一行に其れを選択させたのは二人が弱者だという誤解と、弱い骸骨兵ばかりで魔王なんて噂だという思い込みだった。
骸骨兵の後を追い進めば進む程、見晴らしの悪い霧が覆う。
まるで何かを意図的に隠すように。
増していく不気味さを一行は解っていながらも、中断は選べなかった。
冒険者としての性なのかもしれないが、結果的に一行はたどり着いてしまう。
そう誰が観ても解る位に邪悪な空気を纏った城、魔王城に。
少し晴れた霧の先に映る城を見つめ、ルミニーが呟く。
「此れはハズレくじ引いちまったね」