22<オールイン>
<オールイン>
ガルのメンバー三人に気付く事なく、骸骨兵達は魔王城に入って行った。
門番には骸骨兵四体だけだが、城内には何体居るか見当も付かない。
静かに圧倒的な存在感を放つ魔王城を眺め、ガルのメンバー三人は困惑していた。
骸骨兵を統率する存在位は予想していたが、洞穴に隠れているような低ランクだろうと高を括っていた。
だが現実は、建物なんて建てれないような荒れ地に城。
魔法なのか組織力なのかは解らないが、其の城の主が魔王クラスなのは疑いようもなく。
もしも見付からない二人が連れ去られた場所が此所なら、救出は困難を極めていた。
「さて、どうしたもんかね」
お気楽なルミニーでも流石にメンバーに相談無く即行動とはいかず、その場での作戦会議が始まる。
短い議論の末。
三択に迄は絞られたが、正解なんて無く三人は決めかねていた。
一旦ギルドに報告に戻り、再捜索。
敵を避けて隠れながら侵入しての捜索。
派手に陽動して、混乱している隙に親玉である魔王を倒し捜索。
一番救出の可能性が高いのは親玉を倒してからの捜索だが、問題は山積みだった。
先ず二人が居るとは限らないし、居たとしても何処に居るかは解らない。
リジョンが使える索敵魔法では魔力を検知するが、人間と魔物の区別が出来ないからである。
そして索敵魔法の範囲に親玉が入り、おおよその魔力量が解っても倒せる様な相手かは解らない。
例え倒す事が出来たとしても、その後に魔力や体力が持つかは不明であり。
脱出のタイミングを見誤れば、チーム全滅の可能性すら在る。
その難しい判断はリーダーであるルミニーに委ねられるのだが、其れが一番の問題だった。
「まるでギャンブルだね」
展開を楽しむ様なルミニーの一言に、二人は顔をしかめる。
何度となく聞いた事の在る一言。
過去にルミニーが此れを言った時は戦争に巻き込まれかけたり、ドラゴンに追われたりと録な事がない。
当然堅実ではないチームはギルドから認められないので、評価は上がらない。
B級上位なのに実力が高いのは、其の不遇故なのである。
「やっぱり派手にいきますか~」
二人が懸念していた通りに、ルミニーは楽し気な口調で決断する。
まるで丁か半にオールインするノリで。
二人が反対した所で無意味なのは、過去の経験が物語っていた。
「やっぱり、そうなりますよね」
「今日も頑張りますか・・・・・・」
諦めた様子で顔を見合わせる二人は、少し笑っている。
博打的な思考がルミニーのギャンブラー気質な性なら、ピンチを笑える二人は冒険者としての性なのかもしれない。
もしも二人を救出出来たとしても、すでに採算は合っていない。
手に入れられるのは、契約を守る冒険者としてのプライドだけである。
並みの冒険者なら、間違いなくギルドに逃げ帰るだろう。
其れでもルミニーに付いて行く二人は、信じているのかもしれない。
童話で観たような英雄に、いつかルミニーが成る其の時を。