雨実 和兎の小説創作奮闘ブログ

エッセイ・小説・詩・ポエム

70<続セト戦>

70<続セト戦>

 

「ルミニーさん!!」

 

ガルのメンバーを見たエミリも、安堵の表情を浮かべている。

 

「あれま、変な煙りが上がってると思って来たら、アンタ達だったのかい」

 

セトの動向を警戒しながら、三人は歩み寄る。

 

「盗賊では無さそうだけど女の子襲う位だから、悪党には変わりはなさそうだね……」

 

そう言ってセトを睨むルミニーは、静かに剣を構え。

 

ルドエルは呆れた様に呟く。

 

「もう斬撃飛ばしてるけどな……」

 

「溶かす毒を吐くから気を付けてくれ」

 

助言を聞いたルミニーは、辺りを見回し呟く。

 

「効果は桁違いだけど、ポイズントードの毒に似てるね……」

 

まだ液状を保っている毒液は、煙りを上げながら草木を溶かし続けている。

 

「リジョン足場を作りな」

 

ルミニーの指示で、リジョンは辺りの毒液に氷結魔法を掛けて足場を作りだす。

 

「へぇ~、スゴいね~。さっきの斬撃と今の魔法? 其れも奪えるのかな~」

 

まるで新しい獲物を見付けた獣の様に、セトはルミニーとリジョンを見据えている。

 

「気を付けてくれ、ソイツの攻撃が三回当たればスキルを奪えるらしい」

 

「スキルを奪うスキルね……、 滑るけど踏み場が無いよりはマシかな」

 

ルミニーは訝しげにセトを見据え呟き、足場の滑りを確認する。

 

「魔物のスキル使うなんて只の悪党じゃ無さそうだね、アンタ何者なんだい?」

 

「しいて言うなら商人かな、売っているのはこんな殺戮兵器だけどね」

 

そう言ってセトは大きく息を吸い込み、紫色で霧状の毒を吹き出す。

 

「吸い込むな毒だぞ!!」

 

自分の叫ぶ声と同時に、リジョンの魔法で旋風が巻き起こり。

 

視界を遮っていた毒霧が、あっという間に霧散していく。

 

「上手いこと逃げられたね……」

 

対面していたセトの姿は、もう其所には無いのだった。

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